ウワサ話し

気は心

私が小学生だったある日の放課後、クラスの誰かが急に、「明日、先生の誕生日やん‼」と言いました。

当時のクラス担任だった男性の先生は、翌日が30歳のお誕生日だったのですね。

一人の子が黒板に、『先生 おたんじょう日おめでとう!!』とチョークで大きく書きました。 すると続いて、そこにいた子たちが次々に、チョークを取り合うようにしてお祝いのコメントを書き始めました。
 
絵の上手な子が、何色かのチョークを使い分け、見事に彩りを加えると、たちまち教室の黒板が、賑やかなお祝いのメッセージボードに姿を変えました。

みんな、たまらなくワクワクした気持ちになって、明日の朝が楽しみでたまらなくなりました。

ところが、たったひとりだけ、みんなの様子を冷めた表情で見ている男の子がいました。 そして彼はおもむろに一言、「こんなことして…、明日、絶対先生に怒られるよ。」みんなの盛り上がりに水を差すように 静かにそう言ったのでした。 

賑やかだった教室が、しんとなりました。 

でも、誰も黒板を消そうとはしませんでした。 ただ、みんな急にテンションが下がり、その日はそれぞれが、少し不安な気持ちで家路についたのです。

つぎの日の朝・・・。 いつもは騒ぐ子達も大人しく席に着き、静かに先生が教室にやってくるのを待ちました。 授業に使う黒板をこんなふうにしちゃって、もしかして、先生はすごく怒るかもしれない。

やがて、ドアを開け、入ってきた先生に向かって、クラスの子たちが声を合わせて「お誕生日おめでとうございます‼ 」と叫ぶと、

先生はとても驚いて、一瞬はにかんだような表情を見せると、しばらくだまって黒板を眺めていましたが、こちらを向いた彼の両の眼からは、ぽろぽろと、大粒の涙があふれてきたのでした。

「ありがとう・・・」ようやく聞きとれるほどの声で、嗚咽しながら先生は、やっとそれだけ言いました。

みんな、なんだかとても満足して、そしてすごく幸せな気持ちに満たされた朝でした。

さて、「医療従事者などへの敬意と感謝を込めて」 先日、東京の空をブルーインパルスが飛行しました。

税金の無駄遣いだとか、別にそんなことされても医療従事者にとって何の助けにもならないとか、その分を少しでも現金にしたほうが良いというご意見もあるようですね。

たまたま私は、ブルーインパルスが都心の上空を飛行する様子を報道したニュースを、SNSの投稿で拝見し、青空の中、真っ白の帯を引いて見事な隊列で飛ぶブルーインパルスの勇壮な姿に感激しました。

それ以上に感動したのが、病院の屋上や窓から、嬉しそうに手をふり「ありがとう!」の声を上げるたくさんの医療従事者の方たちのお姿…。

そして、街のいたるところで空を見上げ、歓声を上げるマスクをした一般の方たち。 

その、ほんの短い映像に、思わず胸が熱くなり、私まで感謝の気持ちで心がいっぱいに満たされました。

日本語には、「気は心」という言葉があります。 

「ほんの僅かだけど(高価なものではないけれど)心はしっかりとこもっています」、というような意味ですが、あえて「少し」という意味合いを持たせるのには、日本人特有の謙虚さも込められているような気がします。

「気」と「心」は、意味が重複しているように感じますが、「気」は何かを思いついたり、行動しようとする思い。 「心」は思いやりを含めた人の感情を意味するようです。

あの映像を見る限り、「気は心」の思いを、しっかりと受け取ってくださった方が大勢いてくださるのではないでしょうか。

そして、たくさんの方を笑顔にしたこと、それって、ものすごく素敵なことではないですか。

価値観とは、例えばここに10万円のお金があったとして、それが高いと思うか、安いと思うかというものではないと思うのです。 そのお金を何に使うか、どう生かすか。 おそらく、そういったことが一つの価値観ですよね。

ブルーインパルスの飛行に、どれだけのお金がかかったのか、私には知る由もないけれど、この日の飛行のためにお力を尽くされた、たくさんの方たちの、「気は心」の思いに対し、高いとか、安いとか、無駄だとかという視点は、少なくとも、私の価値観の中には含まれていません。

何も出来ない私の代わりに、あんな素敵な行動を起こしてくださった方々に、心からお礼を申し上げます。

ロンドンにお住いのクライアントが、わざわざ送って下さった、「免疫力アップ」の効果のあるお茶です。 パッケージもすごく可愛い♬  
ロンドンも大変なのに、わざわざこんな気持ちを届けてくださったお気持ちが、本当に本当に嬉しかったです。

実は、この方も、ロンドンで医療従事者としてお仕事をなさっている方なのです。

イギリスのNHS(国民保健サービス)で働いている方をはじめ、医療関係者の方たちは、市民からとても感謝をされていて、開いているカフェではコーヒーや紅茶などの無料サービスがあったり、スーパーでは曜日と時間指定で優先的に入れてくれたり、病院へ食べ物の差し入れなどもあるそうです。 それを聞いてとても安心しました。 

それから、先日コストコで買ったビタミンDです。 「効果がない」という説もあるのだけれど、「気は心」ということで、コロナ対策として飲み始めました。 「気は心」には、「気の持ちようで心が落ち着く」という意味合いもあるのですよね♬

この国だけではなく、世界中の医療関係者の方々に、そして誰かのために「心」を配っているすべての方々にも、心から感謝申し上げます。 

今日もご覧下さってありがとうございます。


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