アート

字には心があらわれる

先日の日曜日は、大事な書道の講習会があったので、早い時間の新幹線に乗って、北九州市の小倉に向かいました。

この日は、午前中はみっちりと書道史を学び、午後からは集中して課題に向き合って、書き上げた作品にご指導をいただくというスケジュールで、とても有意義な1日となりました。

「書道史」は、紀元前16世紀頃の「殷」の時代からスタートします。 

何故ならこの時期に生まれた「甲骨文字」こそが、書道史のすべての始まりとなるものだからなんです。

この時代の人たちは、亀の甲羅や牛の肩胛骨に火を当て、生じたひび割れの形に「神意」を読み取ろうとしました。

農耕の吉凶、天候、戦争の勝敗から王の体調のことに至るまで、あらゆる迷いや決断を天にたずね、その結果を刻みつけたのが「甲骨文字」だったわけです。

要するに、占いの結果を亀甲や獣骨に刻んだものが、のちの漢字になっていったということなのですが、我々が普段、読み書きしている文字の成り立ちが、そんなスピリチュアル的なものから始まっただなんて、ちょっとした驚きですよね。

文字のルーツを辿ると、事務的な伝達や、日々の出来事を記録するということよりも先に、目に見えない大いなる力と対話し、その意志を留めるための神聖なものとして生み出されたものということです。

そして、現代にも息づく「風水」や「占い(命理学)」の源流も、実は文字と同じところにあるのです。

私の場合、なんにしても必ずこの場所が始まり地点になるということに、なんだか感慨深いものがあります。

自分が惹かれるものをたどると、何故か不思議と、殷の時代のここに行き着くというね。

風水や四柱推命を学んでいると、天の理や自然の運行、気の流れを読み解くことの重みを深く感じるのですが、書道もまた、白い紙の上に墨を落として文字を記すという作業にとどまらず、そこに書き手の気韻を残すものなのだという気がしています。

風水や、東洋の占術というと、漠然とですが何千年の歴史を経て現代に続くものなんだろうなと感じる方は多いものかと思いますが、日々、私たちが何気なく読んだり書いたりしている、この文字の一つひとつにも、気の遠くなるような時間の記憶と、人のエネルギーが宿っているのです。

ところで、どんなに着飾っても、どれだけ人間性を取り繕っても、人はふとした瞬間にその人の本質をのぞかせるものですが
その人の書く字には人柄が表れ、
お箸の使い方には育ちが表れるものだと私は思っています。

師範の認定をいただいてもなお、私自身が自分の書く文字に、頼りなさともどかしさを感じているので、まさか人様の書く字に対してとやかく言える立場ではないのだけど、つくづく字にはその方の性格的なものが表れるものだと思います。

そもそも私がきちんと字のお稽古をしようと思い立った理由は、教えてくださる先生のお人柄が大好きなことと、当然ながら、「美しい文字」を書きたいと思ったからなのですが、字にこそその人がこれまでどんな生き方をして、他人に対してだけでなく、自分自身に対しても、どのように接してきたかが表れるもの。

字にははっきりと、その人の「人となり」が表れるものだと思うのですよ。

慌てている時には誰だって雑な字になるものだけど、誰かにあててお手紙を書く時には「できるだけ丁寧に書いた字」を相手に読んでもらおうと思う。 

それが相手に対する礼儀だし、思いやりだから。

でも、人に宛てる手紙の文字でも、判別不能なほどに書き殴ったような字だったりすると、「ああ、この人は相手に対して、こんなふうに雑な接し方しかできない人なんだな」と感じてしまうものです。

それって、相手を尊重していないということに繋がりますよね。

人に読ませるために書く文字は、上手下手ではなく、丁寧に読みやすい字を書こうと意識した気持ちって、必ずそのまま相手に届くものですから。

さて、今回の講習会に話をもどすと、どなたも素晴らしい字を書かれて、拝見して感動しました。

みなさん師範のお立場の方でいらっしゃるので、それはまあ、当然のことかもしれないのですが、だけどその中で、私はまだまだだ・・・。

今後ますます努力して歩みを進めねばと、改めて感じたのでした。

字には心が表れる。 丁寧さを心がけて、愛をこめて、一文字一文字を書かなくちゃな。

楷書、行書、草書のお手本と筆順が載った辞書。 美しい字を書くためには、実は筆順が大事です。

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