数日前に福岡に上陸した台風は、まさに「風のように」過ぎ去って、一夜明けたら、急に、秋らしいお天気に変わっていました。 台風が、最初に上陸する場所が福岡というのは、台風の観測史上初では初めてのことだったらしいです。
いくつになっても、「初めて」ということを経験するものだなぁと、妙なことに感心しておりました。
それほど、ニンゲンって、生きていくうえで見たり、聞いたり、知ったりできることって、自分が思っているほどには多くはないのかもしれません。
だからこそ、自分から知ろう、分かろう、聞いてみようとすることが、人の中身を深め、広げてくれるということなのかもしれませんね。
ゆっくりと秋がやって来る九州でも、日中は、まだ陽ざしが強く感じるものの、夕刻あたりからは、ずいぶんと風がひんやりしてきて、昨晩の夜風は少し冷たく感じて、体が冷えないように、慌てて窓を閉めました。
さて、今日、9月20日は「彼岸の入り」です。
「暑さ、寒さも彼岸まで」という言葉通り、お彼岸を過ぎると春は寒さが和らぎ、秋は急に秋らしくなってくるものです。
春分の日と秋分をはさんだ前後の3日間、合わせて7日間がお彼岸の期間なのですが、春分の日と秋分の日が、それぞれ、「昼と夜の長さが同じになる日」といわれますので、秋のお彼岸を迎えたこれからは、だんだんと夜が長くなってゆくのですね。
丁度数日前から、美しい彼岸花の写真がSNSに投稿されているのを、ちらほらとお見かけするようになってきて、「秋だなあ…」と感じていました。
外出の機会が極端に減り、外食の機会も極端に制限されていて、リアルに人と会って語らえることが、ほとんどできなくなってしまった今だから、FacebookやTwitterなどのSNSを通じての、「かすか」とともいえるようなつながりは、今の私にとっては、大切な心のよりどころになっている気がします。
自分が行けない場所にいる人からの様々な発信は、貴重な情報であり、良い刺激となり、時には優しく心を癒してくれるものです。
そういえば、過去を振り返ると、この時期には私もよく、彼岸花の写真をブログやSNSに投稿しているかも。
彼岸花（ヒガンバナ）という名のとおり、この花はいつも見事にお彼岸の時を狙って、必ずちゃんと咲くのですよ。 不思議です。
まっすぐな茎にいきなり花が付いたような形で咲いているので、余計に突然湧いてきて咲いたように感じるのだと思います。
葉っぱは、花が終わってから出てきます。 花と葉が一緒に存在しないという、不思議な植物です。
まるで、風車（かざぐるま）に似たような形で、葉のないまっすぐな茎のてっぺんにパッと開いている、あの真っ赤に燃えるような花といったら、なんというか、衝撃的ともいえる印象です。
綺麗‼と感じるのと同時に、なんだか胸がざわつく感じがするのです。
この花の、「曼殊沙華（まんじゅしゃげ）」という別名は、わりとメジャーであるかと思いますが、彼岸花の地方名（方言）は、なんと1000ほどもあると言われているのだそうです‼
ちょっと調べただけでも、死人花（しびとばな）とか、地獄花（じごくばな）とか、葬式花（そうしきばな）とか、幽霊花（ゆうれいばな）とか‥なんともおどろおどろしいというか、おぞまし気というか、怖い印象の名前がずらりと並びます。
墓花（はかばな）という名前も付けられているのは、おそらく、昔からお墓の周りに咲いている花だからでしょうね。
仏教とのつながりを深く感じさせる花ですが、花や球根には強い毒性があるので、土葬だった昔は、土を掘る動物にお墓を荒らされないように、お墓の周りにヒガンバナを植えたのだそうです。
お彼岸に、どなたもお墓参りに来られないお墓に眠っておられる方でも、お墓の周りに咲いている彼岸花が、良い慰めになっているかもしれません。
お彼岸の時期に、忘れずに咲いてくれる花。
まるで「なにはともあれ、急いで花だけでも咲かせました」とでも言うように、葉っぱがなくて、茎のてっぺんに花だけ咲いているという、不思議さです。
それにしても、日照時間や気温の変化、つまり地球の動きや太陽の位置、そんな様々なことが、地面の中にまでしっかりと影響を及ぼして、見事に植物の生育や開花にまで関わっているということなのですね。
つくづく自然の力って偉大であり、細やかでもあり、本当に素晴らしい。
一年を通して気候が安定している、気持ちの良い風が吹くハワイの土地も大好きなのだけど、四季が楽しめる国に生まれ育ち、こうして暮らしていることに、私はしみじみと喜びを感じます。
さあて、今日はお墓参りに行ってきますか。
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