8月に入りました。
昨日の東京は、久しぶりの雨。 少しだけ暑さがやわらいだ夜に、念願の、映画『国宝』の鑑賞が叶いました。
事前にシートの手配をしてくださったうえ、3時間お付き合いくださった鮑先生には、心から感謝申し上げます。(しかも、お膝にポップコーンまで乗せてもらいました💕)
公開直後から、ものすごく気になりつつも、なかなか観にいく時間を作れなかったので、とりあえず先にKindleで原作を読んでいた私は、この映画には大きな期待と同時に、大袈裟にいえば、ある覚悟をして挑んだんです。
だって、あのストーリーを、たった3時間に収めるなんて、どう考えたって無謀ってもんです。
で、「なるほど、こんなふうに端折られるわけね」と思いながら、ストーリーを追ったわけですが、もちろん、限られた上映時間のなかで、すべてを描ききるのは難しいことなのは当然ですよね。
あの濃密で繊細な物語を映像化するにあたって、どこを残し、どこを削るかというのは、脚本や演出に関わった方々にとっては、きっと、とてつもなく大変な作業で、苦しみ抜いての選択もおありだったことでしょう。
それにしても、スクリーンに映し出された世界はあまりにも美しすぎて、映像としての見事な仕上がりに関しては、小説とは完全に別物なのかも、という気がしました。
特に、歌舞伎の「引き抜き(衣装の早変わり)」の場面などは、劇場で観るからこその大きな感動‼️
あの瞬間は、思わず息をするのを忘れてしまうほど、心を持って行かれた気がしました✨
一瞬の所作で、着物の色柄が見事に変化し、まるで、人格さえも変わったかのように役が生き始める。
舞台の上で生きる役者さんの気合と、それを支える裏方さんの見事な妙技……日本の伝統芸能の真髄が表現された映像に、すっかり心を奪われました。
映画だけでも、すでに何回も観にいった方がいらっしゃるようですが、そのお気持ち、確かに理解できますよね。
とにかく、視覚的にも精神的にも、深く訴えかけてくるような映画なんですね。
ネタバレへの配慮以前に、私には、あの壮大なストーリーを、さらっと追って語ることはとてもできませんが、じんわりと余韻が残るタイプの映画です。
観た人だけが持ち帰れる、静かな感動。
私の中で、「好きな映画」として挙げられるタイトルが、また一つ増えて、嬉しいです。
それにしても、才能と血というテーマに焦点が当てられているせいなのか、後半のストーリーが、原作とはだいぶ異なっていて、小説に感情移入していた私にとっては、正直、軽く肩透かしにあった気がしたかも。
原作において「家」と「血筋」の意味合いは、“才能と血”というテーマの中核を成す、とても大切な要素だったと思うのですが、映画ではそれがかなりシンプルに描かれていた印象です。
それと、大阪の花井半次郎邸に、主人公の喜久雄が一人で訪れた時から、ちょっと嫌な予感がしていたのですが、原作では、とても良い活躍ぶりと存在感を発揮している、「徳次」が登場しなかったことも、徳ちゃん推しだった私にとっては、ショックでした。
成長した徳次はどなたが演じるのだろう?と、すごく気楽しみにしてたのにな。
そういえば、弁天は全く登場しませんでしたね。
そして、本来の、主人公「喜久雄」の性格は、寡黙ながら背中に背負った「木兎(みみずく)」の性質そのもの。
人に受けた恩はけして忘れないという、木兎の気持ちこそが、この世で最も尊ぶべきという、義を重んじる気質と、任侠道の家の生まれらしい漢気ある律儀さ、そして優しさを併せもった人物として描かれています。
父の仇討ちを決意し、あつく気持ちを燃やしながらも、何食わぬ顔でのほほんと過ごしてみせ、じっと時を待っていた姿に、小説を読みながら、「まるで大石内蔵助みたい」と思ったら、どうやら小説の作者は意図して「忠臣蔵」をモチーフにしていたようです。
そういえば、始まりの雪のシーンも同じく、忠臣蔵の有名なシーンと重なります。
そもそも、九州の長崎で、あんなに雪が積もることなど滅多にないと知っているからこそ、あの設定が、私には余計にドラマティックに感じられてしまうのです。
ついでにあと一つ。
原作の中で描かれた、「女たち」はみんな、男性を支える力がとてつもなくパワフルなんです。
男たちは男たちで、どのキャラクターもみんな、素敵な人たちばかりなんだけど、女たちがこれまた、生きていく力と才能と、男を支える能力に素晴らしく長けていて、ものすごくかっこいい。
実は彼女たちの力が、あの物語を大きく動かしている、ということも、私の中では印象的でした。
映画の仕上がりも見事なんだけど、やはり次はオーディブルで、尾上菊之助さんの朗読する「国宝」を聴くかなあ。
映画をご覧になって、感動した方こそ、是非とも原作をお読みになることをお勧めしたいです。

さてさて、この日のお昼間は、鮑先生が、愛車を飛ばして「深大寺」まで、お蕎麦を食べに連れて行ってくださいました。
深大寺(じんだいじ)は、この辺り一帯の地名でもあるのけど、東京都調布市にある天台宗のお寺で、山号は「浮岳山」と言います。
このお寺の釈迦堂に安置されている、銅造釈迦如来倚像(どうぞうしゃかにょらいいぞう・通称 白鳳仏)は、『国宝』に指定されています。
なんと、東日本最古の国宝仏なのだそうですよ。

この日いただいた十割蕎麦。
深大寺周辺の湧き水や土地は、そばの栽培に適しているため、江戸時代から「蕎麦どころ」としても有名です。
二つの「国宝」とご縁のあった、とても幸せな1日でした✨
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