「そろそろお彼岸だから、お花を買って帰ろう」
そう思って、新宿の青山フラワーマーケットに立ち寄ってみたら、ぴったりのミニブーケをみつけました。
お彼岸らしく白を基調にしたミニブーケです。
カモミールによく似た可憐なお花はマトリカリア。
スモーキーな薄紫色のバラは、中心に向かって控えめなグラデーションが美しくとても上品です。
そして、清楚な中に華やかさも感じるミルキーホワイトの花は、学名がリコリス・アルビフローラ。
リコリスという名前は、ギリシャ神話に登場する海の精霊「Lycorias」が由来らしいのですが、まばゆい金色の長い髪を持つ、それはそれは美しい女神なのだそう。
確かに、太陽の光を浴びてキラキラと輝き、風になびく美しく豊かな金髪をイメージさせる花ですね。
実はこの花、和名はあの有名な「彼岸花」。
白の彼岸花って、九州では、田んぼの畦や墓地の周りなどで、お馴染みの赤い彼岸花に混じってしばしば見かけることがあるのです。
なので、さほど希少なものというイメージがなかったのですが、九州のように温かい地域のほうが生育に向いているらしく、関東ではあまり見かけないらしいのです。
確かに、東京で9月を過ごしていると、秋の訪れの早さに驚きます。
すでに風がすっかり秋の風で、これは九州では10月に入らないと感じられないやつですよ。
先月初めから、ずっと東京で過ごしている私は、真夏のお洋服しか持ってきていなかったので、最近の夜風の肌寒さに、なんとなく物悲しい気持ちにさせられるので、慌ててお洋服の調達に出かけた帰り道、このブーケを買ったのでした。
さて、この白い彼岸花ですが、見慣れた赤い彼岸花と比べると、ぱっと見は、彼岸花だと気づかない人もいるかも。
彼岸花って、昔から「葉見ず花見ず(はみずはなみず)」といわれている花で、花が咲いているときには葉っぱが一切ないという、不思議な特徴があるんですよね。
まっすぐ伸びた茎のてっぺんにパッと花が開いていて、葉っぱはどこにも見当たりません。
まるで地面に風車が刺さっているような、あの姿にちょっと似てるかも。
夏のあいだにすべての葉が枯れてしまい、一度休眠したあと、秋になると突如として、地面からスーッと茎が伸びてきたと思うと、いきなり大輪の花を咲かせるのです。
花が終わったあと、冬から春にかけて、また新しい葉が青々と茂ります。
「まさに花は葉を見ず、葉は花を見ず」ですね。
毎年いつも感心するのですが、春と秋、お彼岸になったら不思議なくらい、かならず忘れずに咲いてくれる花です。
なんだか「お彼岸が来たのでとにかく急いで花を咲かせました」と言ってるみたいに、葉がいっさいなくて、茎のてっぺんに、ポンと花だけ咲かせているんです。
彼岸の時期に咲くので彼岸花というのでしょうが、「曼殊沙華(まんじゅしゃげ)」という別名の他にも、地方名(方言)は、なんと1000ほどもあるのだそう。
例えば、死人花(しびとばな)とか、地獄花(じごくばな)とか、葬式花(そうしきばな)とか、幽霊花(ゆうれいばな)とか、なんだか可憐さや美しさとはかけ離れた、なんとも恐ろしいイメージの別名がつけられています。
墓花(はかばな)と呼ぶ地域もあるというのは、きっと、昔からお墓の周りでよく見かけるせいもあるのだと思います。
特に真っ赤な彼岸花は、お寺やお墓で見かけるイメージが強いせいか、仏教とのつながりを感じさせられます。
彼岸花の花や球根には強い毒性があるので、土葬だった昔は、土を掘る動物にお墓を荒らされないように、お墓の周りにこの花を植えていたのだそうです。
さて、話を白い彼岸花に戻して、この花のとても素敵な花言葉をご紹介します。
白い彼岸花の花言葉、それは『また会う日を楽しみに』
お彼岸に、故人のお写真のそばに飾るお花として、とてもふさわしい、なんとも素敵な花言葉ではないですか。
また会う日を楽しみに・・・子供の頃、大好きで何度も繰り返し読んだ、メアリーポピンズのお話を思い出しました。
物語の最後に交わされる、
「Au revoir(オ・ルヴォワール)」というフランス語のお別れの言葉は、さよならではなく「また会いましょう」という、再会を含んだ別れの言葉です。
「さようなら」ではなく、「またね」です。
そう思うと、白い彼岸花の「また会う日を楽しみに」という花言葉と、とてもよく似ていますよね。
お彼岸は、ご先祖さまやもう会うことのできない大切な人を思い出す季節。
故人に会えなくなったことを嘆き悲しむよりも、「またいつか会える日を楽しみにしてるね」って、希望を含んだ明るい気持ちで、私はそっと手を合わせたいのです。
白い彼岸花の可愛らしく華やかな姿は、そんな気持ちによく似合う気がします。
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