カウンセリング・心理学

花冷えの日に思い出す出来事

桜って、本当にたちまち開いてしまうのですよね。 つい数日前までは、固いつぼみだった桜の花は、今もうほぼ満開の華やかな姿に変わりました。 福岡は、明日から数日雨が続く予報になっているので、身頃は今日までなのかなぁ。

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いつの春でも桜は桜。毎年変わらず、ほのかなピンクの花をたちまちいっぱいに咲かせたかと思うと、あっという間に散ってゆきます。 だから桜の花が開くのを待つときは、いつも特別な気になるのでしょう。 

変わらず繰り返される、毎年変わらぬ桜の花だから、今年の桜を誰と一緒に見上げたのか、今年の花を眺めながらどんなことを思ったか…。それが自分の歴史になって積まれてゆくのですね。

その潔さがまた美しく、はかなげに風に花びらをはらはらと散らす姿とは対照的な、優美な強さを秘めている桜。 毎年、桜が開きはじめると、嬉しくて何だか華やいだ気持ちになります。 そして、私は毎年必ず、針の先でチクリと刺されたような、胸の小さな痛みを感じるある記憶がよみがえるのです。 

私が初めてある企業に就職した春…。 はじめての社会人としての私のお仕事は、OLでしたが、あの当時の私は本当に未熟で今思えばお恥ずかしいほどに、社会人としての心得がなってない甘ちゃんでした。

それはそうと、私の配属された部署の責任者は、役職は当時「部長」でしたが、年齢がたしか40歳。 社内では異例の出世を果たしたと言われる敏腕の営業マンでした。 前例がないといわれるほどの業績を上げてきた人らしく、仕事に対する厳しさはそれはもうハンパなく、部下に対しての厳しさもまた、優しさのかけらも感じられないほどに厳しい男性でした。

激高して、部下を怒鳴りつけることは一日に何度となくあって、労働基準法や就労規定など全く無視といえるほどの方針の上司でした。 私もトイレに駆け込んで涙をぬぐったことが一体何度あったことか…(笑) 

でも、入社したての私は、「部長は、仕事には厳しいけれど、きっと暖かい優しさも持ち合わせている人に違いない。」なんて思っていたのです。 なんというか、「大人って厳しい人ほど意外と情に厚かったりするもんなんだ。」などと、浅い人生経験のなかで、私はそんなわかったようなことを思い込んでいた小娘でした。

さて、入社してまもないある日、社内の部署でお花見をするという企画がありました。 それは確か平日の夜で、仕事が終わってから、それぞれの家族も参加して、桜並木の綺麗な河辺でお花見をしようという、その部署では毎年恒例のレクレーションのようでした。

当時、同じ部署にいた30歳前後になる数人の男性達は、それぞれの奥さんや子供さん方もみんな年齢が近いこともあって、特に家族ぐるみで親しくしていたようで、仲良し同士、家族も呼んでみんなで一緒にお花見をしようよ的なものでした。
 
それはもちろん、会社の正規の行事ではなく、あくまで自由参加だったこともあり、まだ全く会社に馴染めてもいないし、当時お酒もまったく飲めなかった私は、「そりゃ参加するのが礼儀だろうけど…。」と悩みながらも、不参加のお返事をしたのでした。

桜が満開の時期でした。 大きな河の河川の桜並木のお花見は、花見の名所として、提灯や屋台が出るような所ではないけれど、毎年大勢の見物人がビニールシートを敷いたりして、持ち寄ったお酒や食べ物を並べて花見を楽しむ所であるようです。 (と言うのも、近所なのに、私はそこにいまだに行ったことがないのです。)

その晩は、まるで真冬に逆戻りしたかと思うほどに気温が下がった夜で、突風が吹き荒れ、雨こそ降らなかったけれど、お花見にはかなり悪いコンディションの日でした。 突風は、時折ゴーっという大きな音を立てて、今夜の風で桜の花びらはほとんど散ってしまうのではないかと思うほどでした。

花冷えと言って、桜の咲くころには、必ずこんな日があります。 

「これは行かなくて正解だったね。」と、お花見に参加せず、自宅で過ごしていた私に母が言ったのを覚えています。 その晩は、何だか妙な胸騒ぎすら感じる夜でした。

翌朝、昨晩のお花見に参加していたはずの男性社員のAさんが、就業時刻がずいぶんと過ぎても、なかなか会社に現れませんでした。 昨日は、妊娠中の奥さんと、当時まだ3歳くらいだった男の子さんも一緒に、お花見に参加していたはずでした。 他の人達も心配そうにしていた時…デスクで鳴った電話に出た男性の顔が、にわかに曇りました。

「Aさんの奥さんが、流産したらしい…。」とたんに、その場にいた全員の顔も曇りました。 「昨日の花見が寒かったから…。」

お腹に赤ちゃんがいたAさんの奥さんは、何故あの寒い晩に、どうしてもお花見に参加したのか私にもわかりません。これくらい大丈夫だと判断した事なのか、ご主人の会社同僚の他の奥さん方もみんな参加するんだから、絶対に行かなくちゃ、と思ったのか…。

とにかく、お花見からもどってから急に体調が悪くなった奥さんを慌てて病院に連れていっていて…。 おそらくあの時刻になってからやっと、Aさんは会社に連絡をすることが出来たのでしょう。 それにしても、何とお気の毒な…。 奥さんのお体も心配だし、Aさんもどれだけ落胆なさったことか…。

そんな時、「Aはどうした! まだ来とらんのか!!」という部長の怒声が響きました。 昨日のお花見に参加していた別の男性が、「それが…。 A君の奥さんが流産したらしくて…。昨日の花見では元気だったんですけど…。」と悲しそうに報告しました。 その時の部長の言葉を、私は一生忘れることができません。

「それで会社に来とらんのか? 流産?? はっ、弱いな!」

部長は、いかにも「呆れた」といった様子で、鼻であざ笑うように、そう言い放ったのでした。

…その場にいた全員が凍りつきました。 何とも重たく、嫌な雰囲気に包まれました。 でもとにかく…上司をこれ以上逆上させないためには、みんな黙って仕事に戻るしかない。 そんな暗黙の空気が流れ、全員がひどく無口になって、それぞれの業務に黙々とついたのでした。

その時の感情を、私は今でも上手く言葉にすることが出来ません。 

その部長は、その後さらに前例がないと言われるほどの出世を果たし、会社の取締役の中でもトップの存在にまでなったと、何年も過ぎたのちに、どこからか風のうわさで聞きました。

桜の花が開くと、いつも雅で華やかになり、心がふわふわと幸せな気分になる反面、お天気が曇り気味の日や、急に寒の戻りがあった日には、毎年いつも、私はこの日の出来事を思い出し、心が沈む気がするのです。 

みなさんは、どのようにお感じになりましたか? 

さてさて、また業務連絡で申し訳ないです。 数日前からお呼びかけをしておりますが、№8ネームネックスのオーダーを下さっている、『Y田T子さま』。ご連絡頂いたアドレス入力に誤りがないかと、ドメイン設定をお確かめのうえ解除頂いてから、再度ご連絡を頂けませんでしょうか。 よろしくお願いいたします。もしかして、イタズラだったのかなあ…。 普通はこんなに私からの返事が届かなければ、たいていみなさん気にして下さるんだけど…。

今日の応援、よろしくお願いいたします。

POSTED COMMENT

  1. より:

    きっと、奇麗な桜の花がその赤ちゃんをこの世から守って天使にされたのでしょうね。。ってそんな事くらいしか言えないです。なんとも後味の悪い体験をされてお気の毒です。その上司、カルマで同じ事かもっとヒドい事が起こるでしょう。 👿

  2. Aya より:

    明さま

    あの時の感情を、いまだ上手く整理できない感じだったのですが、
    明さまにそう言って頂いて、心にストンと落ちたものがあります。

    あの時の私は、そんな風に考えて、自分の気持ちを納得させられるには
    知識も経験も、発想も未熟だったのだ~と思いました。
    来年からは、桜が咲いてこのことを思い出したら、
    明さまのそのお言葉も一緒に思い出すことにします!

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