レディのしるし
お嬢様学校出身の私の友人のご学友に、大人になったお嬢様・・・というよりも、お嬢ちゃまのまま大人になられた、という感じの方がいらっしゃいます。 以前友人に紹介されたので、私も面識のある方です。
もちろん御家柄もよろしくていらっしゃる、生粋のお嬢様ですが、何と言うか、お嬢様というよりもやっぱり、お嬢ちゃまって感じ
天真爛漫、お小さい時からそのまま大きくなられたのだろうとお見受けする方です
彼女には数々の伝説があります。 例えば、私の友人のご主人はある会社を経営なさっているのですが、彼の誠実なお人柄もあって、このご時世に、その会社の業績の良さはかなりの評判
「ホントにあなたのご主人ってすごいわね
羨ましいな~
」 ある時、そんな話題になったんです。
当然、上品で控えめな友人は、「とんでもない
小さな会社だもの
社長自ら駆け回って大変よ~~
やっと食べていけてる程度
ご飯も毎晩、夫婦でつつましやかなおかずなんだから
」 と笑顔で謙遜しました。
嫌みのない、さりげない謙遜って、レディのあかし
ところが後日、その友人が苦笑いしつつ語るには、その後、いきなり例のお嬢ちゃまから 「これ、召し上がって
ご主人さまに差し上げてね
」と、立派な箱に入った有名高級料亭の食品を渡されたのだとか
「ご主人さま、お仕事頑張っていらっしゃるのに、毎晩質素なおかずじゃかわいそうよ
是非あなたも一緒に召しあがってね
気にしないで、これはウチの父に届いたお中元のおすそわけだから
」・・・と、渡された友人が恐縮する間もなく、お嬢ちゃまは爽やかに去っていったのだとか
そうなんです
天真爛漫なお嬢ちゃまには、謙遜などは通用しないということなのでしょう
「お礼なんか用意したら、逆に失礼じゃない?ウチは食べるものにも困ってると思われてるんだもんねぇ
」と友人
とても天真爛漫なお嬢ちゃま
そんな彼女の悩みは 「結婚したいのに、なかなかご縁がないこと
」 なのだそう。
お顔立ちもよろしく、お家柄もよろしく、男性からみれば「逆玉」ともなりそうなのに。 だって、「天然好き」の男性だって、世の中結構いるじゃない? 不思議よね
友人も、「そうなのよ、確かに彼女、ちょっとズレてるところはあるんだけど、悪気がないってヤツでね
性格は素直だしね、お顔も可愛いのにね
」 と。
ある時、そのお嬢ちゃまとお食事をご一緒する機会がありました。 会席膳のお食事です。
席について間もなく、お料理を運んで来てくださった仲居さんに、突然お嬢ちゃまは 「ねえ、コレ何?
」 とお尋ねになりました。
そのあまりに厳しい口調に、一瞬、私は耳を疑ったくらい
「あハイ、白身魚のすり身に・・・」 仲居さんが全て言い終わらないうちに、お嬢ちゃまは 「やっぱりね・・・
いらないっ
」 と、お膳の上からその器をつまみ出し、ぽいっと私のほうによこしたのでした
何も悪いことをしたわけではないのに、申し訳なさそうな仲居さんの表情に、ついこちらが申し訳ない気持ちになりました
あらま・・・
お嬢ちゃま、食べ物の好き嫌いですか
それにしても、お店の方に対するあまりに横柄な態度に、私は自分の目も疑ってしまいました
え?
これがいつもおっとりの、あのお嬢ちゃまなのかしら
いつも周りの人にも気を使っているような人だと思っていたけど・・・驚き戸惑っている私をよそに、彼女はまた仲居さんを呼びつけ、「ねぇ、これあんまり冷えてない
冷たいのに変えてっ
」 と厳しい口調で別の器を突き返しています
「早くしてね
」 とまで・・・それはもう、ほとんど命令口調・・・
ああ、そうか
私は悟ったのでした。 彼女が結婚できない訳を・・・
とっても若いうちなら許されることかもしれません。 相手が大人の男性なら、「こらこら、お店の人にあんまりワガママ言っちゃダメだよ
」って優しくたしなめてくれるってこともあるかも。
だけど、大人になってしまったお嬢ちゃまに対しては、大人の男性の目だって厳しくなるってものです
特に、能力のある男性ほど、女性の細やかな気配りなどを採点する目は厳しいもの
どんな時でも細やかな優しさを見せられる女性が、本物のレディですよね
そんなことを考えつつ、彼女の放り出したお皿のお料理まで、みごと平らげた私なのでした
嬉しい
金のカップを取り戻しました
みなさんありがとうございます

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