アート

消したくない虹

昨日、午前中から始まった頭痛が、夜になるとさらにひどくなってきたので、観念して早めに寝ることにしたのだけど、いつもはベッドに入れば2秒で爆睡モードに突入なこの私が、眠れず悶々としておりました。

ああ、時間がもったいない。 かといって、起き上がって仕事をするのは無理だし、こんな時には、読みたい本の活字を見るどころか、動画を見るのすら無理なんです。

私はけして、慢性的なひどい頭痛持ちというわけではないけれど、年に数回、偏頭痛の前兆で閃輝暗点の症状が出ることがあるんですよね。

目の前にギザギザとモザイクがかかったみたいになって、まともに物が見えなくなるのを合図に、その後は軽ければ2時間程度、長ければ一晩くらい頭痛が続くことになります。

調べてみたら、閃輝暗点の原因は、「過度なストレスや睡眠不足、飲酒、喫煙」と書いてあるけど、私、もともと喫煙はしないし、この数年は、お酒も年に数回、ビールをほんの1〜2杯飲む程度だから、原因は残りの2つってことか? これこそ微妙(苦笑)

逆に、閃輝暗点後に頭痛が起こらない方が、脳疾患の疑いがあるらしいから、私の場合は、むしろ安心なんだと思っています(笑)

ただ、昨日からの頭痛は今朝になっても今ひとつ治らず、午前中はぐったりしていましたが、今日の午後からオンラインセミナーは、しっかり頑張りたかったので、明け方近くまで、静かにフジコ・ヘミングさんのピアノを聴きながら過ごしました。

フジコ・ヘミングさんのご逝去が発表されたのは、今月のはじめのことでした。 世界中のたくさんの彼女のファンが、大きなショックを受けられたことかと思います。

もちろん、私もその一人。

昨年の秋、転倒によるお怪我をなさってからリハビリに励んでいらしたそうなのですが、ご逝去のひと月ほど前に受けた検査で、膵臓がんが見つかり、ご療養中だったそう。

4月21日に、御容体が悪くなられて、天に召されたとのことでした。 

また一つ、私の中の虹が消えてしまいました。

前回、あの方の公演が、福岡県で開催されることを知った時は、すでにチケットは完売になっていて、次こそは!と思っていたのに、とうとう叶いませんでした。

彼女の公式サイトを開くと、今月も、来月も、再来月も、日本中の各地で公演のスケジュールがぎっしりで、全てが「キャンセル」の表示になっていますから、今年もいろんなところでご公演をなさるおつもりにされていたのだと思うと、さぞ心残りでいらしただろうなあと、とても寂しい気持ちになります。

フジコ・ヘミングさんは、第2次世界大戦前のベルリンで、ピアノ教師だった日本人のお母様と、スウェーデン人で画家で建築家のお父様の父のあいだにお生まれになりました。

フジコさんは、ピアノだけでなく、絵もとてもお上手なんですよ。 本当に素敵な絵をお描きになるの。 お父様の才能も、しっかりと受け継がれたのですね。

ちょうど、先月、東京の銀座で彼女の画展があっていたようなのですが、残念なことに、そのことも終わってから知ったのです。 ちょうど東京にいたというのに、見逃しちゃった・・・ダブルのショックです。

フジコさんが、ピアノをスタートされたのは5歳のころ。 ピアノの手ほどきをなさったお母様は、とても厳しい先生だったようです。

彼女が片方のお耳の聴力を失ったのは、まだ10代の半ばの頃だったそうですが、東京藝大を卒業した後、苦労してドイツに留学してから、当時の貧しさは、彼女の体調を蝕み、そのせいで、大事なもう片方の聴力までも失ってしまったのです。

それは彼女にとって、これからの運命が決まる大事な大事な演奏会の直前のことで、それから懸命な治療によってわずかながら、片耳の聴力は、取り戻されたものの、随分と大変なご苦労があったようです。

ピアニストとして、とても長いこと不遇の時代をお過ごしになった方なんですよね。

彼女がブレイクしたのは60代に入ってから。

間違えたっていいじゃない。機械じゃないんだから。

彼女の言葉の中でも、これは特によく知られた言葉ではないでしょうか。

確かに、とても人情味のある、暖かな弾き方をなさる方でした。 

ピアノという楽器は、ドの鍵盤を叩けばドの音が出て、ミの鍵盤を抑えれば、正確にミの音が鳴るという楽器なのだけど、不思議なことに、弾く人によって、音色は全く変わるもの。

フジコさんは、本当に柔らかな、穏やかで繊細で優しい響きを聞かせてくださる方でした。

夜空の星の輝きのような、キラキラとした音を奏でる方でした。

調子が良いと思ったらダメね、かならず間違えちゃう。 人生も同じじゃない?

そんなこともおっしゃっていたかと思います。

目の前にある現実だけを見て、幸福だとか不幸だとか判断してはいけない。その時は不幸だと思っていたことが、後で考えてみると、より大きな幸福のために必要だったということがよくあるの。

本当に、おっしゃる通りですよね。 私の心に、深く優しく共鳴する言葉です。

私も、ずっとそう思いながら人生を頑張って生きてきたんです。 

同じ意味に「のち知るべし」という聖書の言葉があって、彼女はたしか、クリスチャンでいらしたかと思うのだけど、きっと神の導きだけでなく、彼女の波乱に満ちた人生の中で得た、彼女にとっての心からの智見なのでしょう。

私よりもずっと長いこと、たくさんの人生の経験を、そしてたくさんのご苦労を重ねてこられた方のお言葉だけに、すっと心に染み込みます。

歳を重ねることは、若さを失うことと比例しているけども、その分、たくさんの深みや魅力を重ねることができる。

もちろん、それは本人の生き方や心がけ次第だけども。

フジコ・ヘミングさんは、とてもおしゃれでセンスが良くて、カッコよくて、そしてキュートな女性でした。

ヘビースモーカーでいらっしゃるイメージが強かったけれど、数年前にタバコをおやめになっていました。 ご本人によると、それは演奏にもとても良い影響があったそう。

そして、可哀想な猫や犬たちに、とても深い愛情を注がれた方でした。

「私の人生にとって一番大切なことは、小さな命に対する愛情や行為を最優先させること。自分より困っている誰かを助けたり、野良一匹でも救うために人は命を授かっているのよ。」

そうおっしゃって、たくさんの保護猫さんや、保護犬さんをご自宅に迎えて、一緒に暮らしていらした方なんですよね。

本当に憧れる女性です。

たとえあの方と同じ年まで、私が生きたとしても、人生に積み重ねたものがあまりにも違いすぎるから、同じ年数かけたくらいでは、到底追いつけそうもないけど、でも、少しでも近づけたらいいな。

私が自分のbucket listに載せたいものの中に、「ピアノで好きな曲を弾けるようになること」があります。

人生に、遅すぎることなんてないって、フジコ・ヘミングさんを想うと、そんな勇気が湧いてきます。 大切なのは、諦めないこと、続けられる力を持つこと。

私は、全くの未経験者とは言えないけれど、あまりにブランクがありすぎて、昔のようにスラスラと楽譜を読めなくなっているし、相当訓練しないと指だって動かないと思うのだけど、

たとえばこの先、60歳でリスタートしたとしても、フジコさんと同じ歳まで生きたとしたなら、30年以上もの経験を積むことができるんだ。

そう思えば、なんでもやってみることができそうな気がする。

私の中のいつか見たい虹を、これ以上、無くさないようにしなければ、ね。

コロナ禍に入る直前まで、よくお世話になっていた、神戸の素敵なホテルに置いてあったピアノです。

こちらには、またお伺いさせてもらいたいと、ずっと思い続けています。 そして、このピアノを、いつか弾かせてもらえる日が来たらいいな。

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