カウンセリング・心理学

恩送り

2年ほど前のことでしたか、たまたま女優の酒井若菜さんという方のブログの、ある記事を拝見したことがありました。

それは、新宿のあるデパートのトイレでの、大晦日の出来事を綴ったもので、

酒井さんのお隣の個室から、女性の嗚咽する声が漏れ聞こえてきて、思わず酒井さんは壁をノックして、「大丈夫ですか?」と声をかけた…というお話です。

すると、若い女性らしき声で「はい」という返事が聞こえたものの、気になった酒井さんは、わざとメイク直しに時間をかけながら少し様子を伺ったのでした。

泣いているらしいその声は、ますます加速してゆくので、酒井さんはドアをノックして、もう一度「大丈夫?」と声をかけました。 

すると、中から「大丈夫、なんです…」という返事があって、それが酒井さんには、「私は大丈夫、私は大丈夫にするんです」と、そう言っているように聞こえた・・・。

そういうお話でした。 

それを読んだ時、私はなんだか身につまされるような気持ちになって、それで今でも時々、そのお話を思い出すことがあるのです。

ちょうど今頃の季節のことでしたか、私も電車の中でうっかりと、勝手に涙がこぼれてきて、困ってしまったことがありました。

慌ててバッグからタオルハンカチを引っ張りだし、口元を押さえて堪えようとしたら、丁度、私の目の前に座っていらしたスーツ姿の男性が、すっと立ち上がり、黙って席を譲ってくださったのですね。

見ず知らずの方の優しい思いやりが、その時の私にはとても有難く感じられて、私も黙って甘えさせてもらうことにしたのです。

その瞬間、素直に人に甘えさせてもらうことの心地よさと、人の優しさに触れた暖かさに、「私ならきっと大丈夫だ」という自信を見つけられた気がしたのです。

「世の中ってまんざらでもない。 まんざらでもない世の中なんだから、私はちゃんと頑張って生きてゆけるんだ」そういう意味の自信です。

頑張っている時って、誰でも気持ちがとても張り詰めているので、ちょっとした人の優しさに、すごく心が救われるような気持ちになる時があるんですよね。

酒井さんが心配になって声をかけたその女性も、大晦日のデパートのトイレにこもって、たった一人で悲しみに暮れていた時、見ず知らずの人が心配して「大丈夫?」と声をかけてくれたことに、きっと心が救われたのではないでしょうか。

ある時、私がとても尊敬していて、勝手に師と仰いでいる、とても素敵な殿方が、「僕は自己決定というものを全く信用してないんですわ」とおっしゃったのです。

それを聞いた瞬間に、私はいきなり肩の力が抜けて、張り詰めていたものがスーっと楽になった気がしたのでした。

「自己啓発の父」と呼ばれる、アドラー心理学で有名なアルフレッド・アドラー先生は、「人生が辛く苦しいのではなく、あなたが自分でわざわざ人生を辛く苦しいものにしているのです」と説かれました。

アドラー先生は「トラウマは存在しない」、と仰っている方で、今の人生を決めているのは、あくまでも自分の考えで決定しているのだというお考えなのだそうですよ。

きっとそうなのだと思います。 きっとそれは正しいのです。

ただ、ならば、いじめられたから学校に行けなくなったのではなく、学校に行かないという選択は「自分で決定した」ということになるし、
暗い家庭環境に育ったから卑屈な性格になったのではなく、あくまで、自分の思考も自分の決定によって、そのように振舞っているということになる(極論です、すみません)

実は、我が家の教育方針も、まさにこの考え方のとおりで、物事の結果は、全て自分の責任であるというふうに言われ、そう躾けられて育ちました。

それはおそらく、我が家の先祖代々の家訓といえるべく方針なのです。

だから、これまで私はずっと、自分の思うようにならないことも、辛いと感じたことも、全て自分で選んだことだし、全て自分のせいだと思ってきました。 

すべての成り行きは自分で決めたことで、自分が招いた結果だということで間違いなのでしょう。 でも、そうであったとしても、それではとても、気持ちがやりきれない時があるんです。

「僕は自己決定というものを全く信用してないんですわ」というお言葉を聞いた時、ふいに私はすごく楽になって、心に羽が生えたような気持ちになったのでした(笑)

何だかその方に対して、すごく感謝と恩を感じた瞬間でした。

恩送り(おんおくり)

 という言葉があります。 

これは、「誰かから受けた親切を、直接その人に返すのではなく、別の人に送ること」で、「情けは人のためならず」という言葉のメカニズムに似た意味の言葉です。

私は、いろんなところでこれまで、さりげなく人に助けていただいたり、恩や親切を受けてきました。

自分自身の力だけでなく、誰かの力や意思に導かれたり、助けられたりして、生きてこられた気がします。 

なので私も、誰かのために、何か素敵な言葉をかけてあげられたり、何か優しさを分けてあげることができればいいなあと思ったのです。

私、たまにはちょっと、優しいことも言ったりします。

15日参りに出かけたら、陽ざしに少し、秋の気配を感じました。

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POSTED COMMENT

  1. より:

    え!
    あやさん優しいですよ!
    声の掛け方とか、優しさしか感じません。
    私も困った時人に助けられたり、自分が理解できなくて困った経験とかを踏まえて人に対して優しくしてます(^^)
    間違ってないのかな?っていつも疑問ですけど、それでも冷たくされて嫌な思いしたから同じ思いさせたくはないですもんね。
    それでも、舐められたり八つ当たりされたりされれば間違ってたのかなって思いますけどね(笑)
    でも、そんな人はそんな人なんだなって思うようにしてます(o^^o)
    優しくする加減が難かしいです。
    話が脱線してすいません。極力困ってる人いたら助ける様にしてます(^^)

    • Aya より:

      綾さま

      ありがとうございます~♡
      誰かに送った優しさが、その方の元からまた誰かに送られて、
      どんどん巡って広がってゆけば素敵ですよね♡

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